「国産LLM APIだから国内処理」ではない
国産LLM APIを機密性の観点で当たりました。誰でも使える代表例は既定で入力が学習に使われうると公表し、国内で処理が完結する保証はないとFAQに明記しています
- 公開:
- 著者:
- Private AI Navi 編集部
- 読了目安:
- 約7分
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目次
機密情報を扱うとき、「海外のAPIに送るのが不安なら国産を使えばよい」と考えるのは自然だと思います。
編集部で国産のLLM APIを当たったところ、その前提を公開情報で裏づけることはできませんでした。 国産であることと、入力データが国内に留まることは、別の話でした。
誰でも使える国産APIは、既定で学習に使われうる
自分で登録して単価まで確認できる代表例が Sakana AI の Namazu です。 公式ページには次のように書かれています。
- 入力は既定でモデル改善に使われうる。オプトアウトは Console の設定で利用者が行う
- 単価は公開されている(100万トークンあたり 入力 $0.95 / 出力 $4.00 / キャッシュ入力 $0.15)
- EU/EEA・英国・スイスでは提供されていない
- Zero Data Retention はエンタープライズプランで申請できる
そしてFAQに、この記事の主題そのものが書かれています。データ処理が完全に日本国内で 完結することは保証できない、という趣旨の記載です。
なお、これは Sakana AI の不誠実さを示すものではありません。むしろ保証できないことを 保証できないと書いているので、確認する側にとっては扱いやすい情報です。 問題は、同じことを書いていない事業者のほうが多いことです。
そもそも「試せない」ものが多い
国産LLMの多くは、法人向けの問い合わせ窓口しかありません。編集部が一次情報で確認できた例です。
- Sarashina API(ソフトバンク) — 公式ページに「本サービスの新規申込受付を6月16日に終了いたしました」と掲載され、Cloud PF Type A への移行が案内されています(2026年)。料金は非公開
- tsuzumi 2(NTTデータ) — 問い合わせ窓口のみで、料金はこのページに掲載されていません。提供形態は「Microsoft Azureにてtsuzumi 2を提供します」と明記されています
料金も、データの扱いも、公開されていなければ比較できません。 本サイトが単価ランキングや料金計算の対象を絞っているのはこのためで、 問い合わせないと分からないものを推測で埋めることはしていません。
編集部が確認できなかったもの
正直に書いておきます。今回、次の2社は編集部の環境からアクセスが403で拒否され、 公式ページの本文を確認できませんでした。
- PLaMo(Preferred Networks)のヘルプセンター
- cotomi(NEC)の製品ページ
したがって、この2社について本記事は何も主張しません。 第三者のまとめや検索結果の要約はありますが、一次情報で確認していないものを 確認したように書かないという方針のため、空のままにしています。
「国産かどうか」は、確認できるかどうかとは別の軸
本サイトの見方は一貫しています。入力を守る方法として確認できるのは2つだけです。
- ローカル実行 — 入力が端末から出ない
- クラウド + TEE — 出るが、実行環境を検証できる
「国産である」はこのどちらでもありません。開発元の国籍は、処理の場所も、 保持の有無も、検証可能性も決めないためです。詳しくは AIに機密を入れるとき、守り方には4つの段がある にまとめています。
国産モデルを使いたいなら、手元で動かす選択肢がある
CyberAgent の CALM3、rinna、楽天など、重みが公開されている国産モデルは ローカルランタイムで動かせます。ローカルモデルを動かす限り入力は端末から出ないため、 処理の場所を事業者に確認する必要がそもそもありません(同じアプリのクラウドモデルを選んだ場合は別です)。
| サービス | プライバシー方式 | 提供形態 | 総合スコア | 情報の状態 |
|---|---|---|---|---|
| Ollama | ローカル処理 | local / api | 74/100 | 一部検証・26日前 |
| LM Studio | ローカル処理 | local / chat / api | 73/100 | 一部検証・26日前 |
| Jan | ローカル処理 | local / chat / api | 70/100 | 一部検証・26日前 |
スコアの算出方法は編集方針に記載しています。料金・機能は変更される場合があります。
必要なメモリの目安は ローカルLLMに必要なメモリとVRAM を参照してください。
よくある質問
国産のLLM APIを使えば、データは日本国内に留まりますか?
公開情報ではそう言えません。誰でも登録できる代表例であるSakana AI Namazuは、データ処理が完全に日本国内で完結することを保証できない旨をFAQに記載しています。国内処理が要件であれば、提供元の国籍ではなく契約条件で確認してください。
国産APIは入力を学習に使いますか?
サービスによります。Sakana AI Namazuは既定で入力がモデル改善に使われうるとし、Console設定でオプトアウトできると案内しています。多くの法人向けサービスは条件が公開されていないため、問い合わせて確認する必要があります。
国産モデルを機密性を保って使う方法はありますか?
重みが公開されている国産モデルであれば、Ollama や LM Studio などのローカルランタイムで動かせます。ローカルモデルを動かしている限り入力は端末から出ないため、処理場所や保持ポリシーを確認する必要がありません。ただし2026-08-22時点で、この2つは同じアプリからクラウドモデルも選べます。機密を扱うならどちらの経路かを確認してください。必要なメモリはモデルサイズから逆算します。
本記事で一次情報を確認した3サービスの記載の最終確認日: 2026-08-22(7日前)
出典
- #国産LLM
- #日本
- #データ主権
- #機密AI
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